‪ラファのインタビュー。‬ 一部を抜き出すと、どうしても解釈や主観が入るので、露→英→日ですが「ほぼ」全訳してみました。 ご興味があれば。

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Q「ネイサンがイエール大学の休暇中に1週間ほどあなたの元で練習したいと言った時に断ったというのは本当ですか？」
R「ええ、全てその通りに起こりました。そうしたらチェンの友人がこっそりと、その後ネイサンはとても傷ついてしばらく自分自身をとりもどせなかったと教えてくれた。けれど、やはり私は正しかったと気づいた。」
Q「どういうことですか？」
R「もしカリフォルニアに来ていたら、彼は氷の上に全てを置いてきてしまったでしょう。考えてもみてください、シーズンのほとんどを一人でトレーニングして、スカイプでアドバイスをもらっていたのに…」
Q「どんなにいい生徒か見せたくて頑張りすぎてしまう？」
R「まさに。そしてネイサンは埼玉に全力を持ってくる必要があった。しかし日本で再会した時、彼はこれまでになく僕のいうことを全て聞いた。全ての言葉に耳を傾け、要求を全て飲んだ。セッションのうち1回では、ジャンプを禁じてただ滑らせた。わかるかい？あのチェンが、一度もジャンプをしなかったんだ。それがなぜ必要かと言うと…まぁ、それは私の企業秘密だ。」
Q「私が練習していた時も、コーチから大きな大会でウォームアップでのジャンプを禁じられたことがありました。後で、コーチから私がピークに近づきすぎていたため、エネルギを使い果たさないようにスローダウンする必要があったと聞かされました。」
R「あなたは自分で正しい答えを導いたね。日本でのトレーニング中には、SPFSで少し修正を加えてテクニックもリフレッシュさせた。」
Q「チェンの自立とカリフォルニアからの旅立ちは、よい役割を果たしたように見えますが？」
R「いいや。アスリートは、なんとか飛行を続けることはできる。今ネイサンのパフォーマンスから見られるものは、まさになんとか飛び続けてる状態だ。長く教わってきたことを続けているというだけ。」
Q「二度の五輪王者である羽生を下し、世界新を更新してもなんとか飛び続けているだけ、とは横柄に感じられます。」
R「誰が誰に、どれくらいで勝ったかというのはもはや重要ではない。選手の多くは今シーズン難度をあげてきた。ネイサンと私もあげられると思ったが、それはできなかった。
しかし一つ言えるのは、ネイサンは学業を通じて教養をつけ、精神的に成熟したということだ。大学でチェンは統計学を学んでいる。会った時にベストな練習の動画を私に見せながら「コーチ、あなたがなぜ僕に特定のことを何度も繰り返させたのか、わかるようになりましたよ」と言った。生態学や解剖学、生理学、トレーニングの基礎、そして統計も学んだ。アメリカではこういった面で教養のある人間は少ない。だから、チェンが私と違うように話し始め、理解し始めたことは喜ばしかった。」
Q「大人のアスリートの方が接しやすい？」
R「教養のある人間ならば、そうだ。だが相手が馬鹿なら大人でも子供でも関係ない。」

Q「平昌五輪ではチェンは6度のクワドを跳んだが、埼玉では4本でした。以前あなたが、戦略は理性的に考えなくてはいけないと言っていたのを思い出しました。その理性の線引きはどこに？
また、ミスを厳しく罰する現在のルール下で、超高難度構成を追求し続けるべきでしょうか？」
R「私は、ルールについて考えることは必要ではなく、自分自身が必要だと思うことをやるべきだと思っている。破られるべきルールもある。そうしなければ、皆と同じことをしているだけになる。なぜ自分の教え子に他と同じになるよう教える？
さらに言えば、ルールを書く人が我々の仕事の繊細さを理解しているとはかぎらない。
我々は長らく非難されつづけてきた。例えばFSでは走って飛んで、のプログラムだと。
私はこう聞こう。「チェンにクワド全てクリーンに滑ってほしくて、さらにジャッジにウィンクしろと？」SPではそれに近いことができたが、それはその余地があるからだ。SPは時間も短いし、ジャンプもネイサンにとって確実なものだけだ。」
Q「でも平昌では失敗しました。」
R「いや、それは間違いだ。平昌でネイサンは4Lzと4Fを跳び、私に言わせればその二つは両立しない。この二つを合わせることはプログラムに大きな影響があるからだ。任意で構成を落とせば、もっと時間が得られる。それに、LzとFをSPに両方入れるのはどのアスリートにとっても得策ではない。それをしながら踊ることは不可能だから。」
Q「そもそも最高難度への挑戦は必要なのでしょうか？」
R「こう答えよう。このルールでは、リスクをとるのは非常に危険なこととなった。だがリスクを冒さないものはシャンパンを飲むこともできない。」

Q「あなたの元にミシェルクワンがいた時のことを覚えています。彼女をまるで天上人のように見ていた。いまや、全世界が羽生結弦のことをそのように見ています。コーチとして、プレッシャーは感じましたか？彼に勝てないと感じたことは？」
R「実は私は羽生の大ファンだ。ファンとしてサインしてもらった事まである。ネイサンが優勝した初めての試合でのことだ。ユヅルはたしかにカリスマ性があるが、彼に勝てるものはいないとは感じたことも、これから感じることも無い。
ところで、埼玉では興味深いことが起きていた。FSでの羽生の滑走後、チェンが滑る前におもちゃが氷に散らばっていて片づけるのにとても時間がかかった。」
Q「次の滑走者の気持ちに影響しますか？」
R「これには準備しておくだけだ。だがその話ではない。どこかの時点で、氷の真ん中でただ流しているネイサンと目が合ったのだが、実に雄弁な笑顔をこちらに投げてよこしたのだ。すぐに彼の考えていることがわかった。羽生の後に滑ったことは三度あったが、三度ともネイサンが勝利した。埼玉では、チェンの方が羽生よりも質の高いエレメンツを持っていることもわかっていた。故に、最終結果にも驚きはなかった。」
Q「チェンの今後の学習計画に変更は？」
R「12月から休学することを勧めているが、大学側と折り合いをつけるのは難しいだろう。そういう時間が取れれば、ネイサンは進化することもできる。取れなければ、事態はもっと複雑化するだろう。夏に3ヶ月私のところにあるはくるが、一夏の間だけでは大したことはできない。学校が終わる5月まで待てば、五輪への準備には時間が少なすぎるだろう。」
Q「今のままでも順位はしばらくキープできそうですが。」
R「それには同意できない。インタープリテーションの面で全く違うプログラムを見たい。エレメンツの実施も、構成も。今はなんだ？行って、跳んで、終わり。また跳んで、また滑って。たしかにジャンプはかっこいい。だが見ていて退屈だ。」

(チームの女子の件は割愛…)

Q「フィギュアスケートでは、練習で勝てというフレーズをよく耳にします。意味は？そして、一般観客は直前練習からなにか有益な情報は得られるものなのでしょうか。」
R「練習から全力を尽くしていたらアスリートは怪我をしてしまう。すでに学んでいなかったことをそこで学ぶことはできないし、ミスを修正することもできない。スタート前のアドバイスも慎重にしなくては、受け入れられない。
あなたのフレーズについては、私の意見では埼玉では間違いなく練習のすべてで羽生が勝っていた。ネイサンに言ったのは「真似するな」とだけ。同じことをしようとするな、と。この罠に引っかかる選手はおおい。だがカレーリンは誰かがマットで筋肉を揺らしただけで倒されたか？馬鹿げた質問だ。
だからこそ、羽生の後でおもちゃが片づけられるのも冷静に見ていた。日本ではもはやそれは実際に誰かに使う精神攻撃となっている。全ての異物が拾われるまで長い時間がかかり、滑るのにも軌道を変える必要がある。子供たちはリンクの端でスローダウンするので、氷が削れて雪が形成され、それは目には見えないながらリンクを狭める。そして、ターンする時にはこの雪は邪魔になる。
これに準備ができていなければ、うまく対応することはできないだろう。私は事前にISUに、羽生の後の雪崩があるのでネイサンには余分なウォームアップタイムが必要だと注意していた。運営に時間は充分あると言われてすぐに安心した。」

Q「埼玉では他の試合は見られた？」
R「全てを一気見することはない。目が疲れる。アイスダンスが好きだ。いつもプロの構成やステップなどのアイデアのためにアイスダンサーを見ている。主に、彼らと自分たちの周りの仕事を比べて。時には公園でも仕事に使えるものをみつけることがある。だけど、良くないスケートは見ないし、インターネットも見ない。ネガティブな情報は頭にこびりついてしまうと学んだから。」

Q「ツルシンバエワの歴史的な4Sについてコメントを。」
R「何をコメントすることがある？彼女は体型のおかげで相対的に強さをもっている。彼女は小さく、軽く、しばらくこの体重を保っている。これは重要な因子だ。ツルシンバエワがこういう体型に生まれついたのは明白だ。しかし女子のスケートが発展する方向としては私は個人的にはこういう方向は見たくない。なので女子シニア年齢の引き上げには賛成だ。なぜならそうすることでのみ、レジメンに忠実できちんと栄養を摂り、深刻な怪我なくプログラムを完遂できる身体を持つ、大人でプロフェッショナルなアスリートが現れるからだ。その場合でのみ、女子の4回転に私は興味を持つだろう。」

Q「あなたはカリフォルニアで世界一のリンクを持っていると聞きました。」
R「その通り。4月にオープンする。空港のように清潔で、一つ屋根の下に4つのリンクがあり、指紋認証、モニターもある。そこでハイパフォーマンススポーツのヘッドコーチに就任している。自分のオフィスを持ち、毎日5時間のリンク独占時間をもっている。
そして二つの相反する夢がある。一つは、ソビエト時代のように外部を遮断して何をしているか漏れないようにすること。」
Q「もう一つは？」
R「ドアを開けて、皆を受け入れることだ。アスリートも、コーチも。おそらくこちらの夢の方が重きを置かれるだろう、現代では全てをシャットアウトするのは不可能だから。何度リンクでの撮影は禁止だと叫んでも、どれほど違反者を監視しても、必ず誰かが違反してインターネットにあげるからね。」

(終)

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