【ネタバレ注意】DDLCの解釈について


 これはなんと評価していいのかわからない。興味深いとか、面白かったという言葉が一番すんなりでてくるけれど、描いたものはすごく重くて、第四の壁というものを明確に意識していると思う。それも「スクリプト」とか「ファイル」とか言ってしまうメタ展開が十分にあるし、正直なところ一周しただけで解釈できるとは思えない。ただあえていえるのは、結局作品の中にいる存在というのは操られているんだということ。
 今更注意事項。私がすべての情報を回収しきっているかわからない。これも特にギャルゲにおける重大な要素であって、エンディングを迎えたからといってすべての情報を回収できているのかが断定できない。この断定できないというのは、理解するという観点で見ると非常に不都合である。なぜなら、ある解釈をしたとしても反例になりうる言及がどこか(辿れていないルート)でされているかもしれないと言えてしまうから。
 あの作品に出てきたキャラクターがモニカという存在(を操る作者)によって"すべての設定"を決められていたのかも知れないし、途中で設定をモニカという存在が書き換えていたのかも知れない。この作品においては、何をどうすれば情報を網羅できるのかがわかりにくくて、言ってしまえばすべてのバイナリを逆アセンブルなりして、すべてのテキストデータとソースコードを洗いざらい読むというのが最善の方法とすら言える。こうすればモニカという存在を無視して、筆者と向き合えるのだから。それくらいにこの作品におけるモニカの行動というのは特別なものであった。それこそもしかすると、私がスクリプトを操作してキャラクターの設定を変えることができるのかも知れない。(前述したとおり、設定が回収しにくいという欠点は分岐要素のあるギャルゲには重くつきまとう問題でもある。今作では登場する設定が"正しいのか"すら危うい)
 最後のモニカの話にもあった、この学園が日本であるかどうかというのも、暗黙的に理解していただけだし実際どうであったかなんてわからない。確かに元々英語の作品であるし、むしろ日本であると思いこむほうがおかしいと考えられる。でも少なくとも私は日本の町で、日本の学校かなと思って読んでいた。こちらは逆に、描いていなかった部分の設定を読者が推測していたという話。これは叙述トリックに言及していると考えられて、設定が存在しなくても、あるのと同等と扱われるケースがあるという事が言いたいのかなと勝手に解釈した。(ある意味私が勝手に作った設定である)
 正直この作品については結論が若干出ているところもある。Wikipediaに書かれていた、真のエンディングとやらも見てみたいけど、一旦今の、通常エンディングのままの私なりの解釈を最後に述べて締めるとする。

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クリアし終えたゲームクライアントを立ち上げてみればいいんだ。
あれだけ好き放題して、キャラクターすらも消してしまったモニカの言葉を読んでみて。
「――この世界は理解するためには作られていない」
結局ね、わからないんだよ。
理解出来ないから、それぞれの"理解を"作り出す。各々が解釈することの重要さ。
それが大事なんじゃないかなーと思い直した作品でした。
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