読売新聞、戦時関連の記事から “sex slaves”の文言を削除


日本の新聞、戦時関連の記事から “sex slaves”の文言を削除

強制的に売春宿で働いた女性たちを自主的だったかのように描こうとしているが、それは主流派の歴史解釈とは食い違う。

2014 11/28 The Guardian

日本最大の発行部数をもつ新聞が、過去の記事で戦前戦中に日本軍の売春宿で強制的に働かされた何千何万もの女性達を “sex slaves” という表現を用いて表現したことに対して謝罪した。

日刊紙として一千万部の発行部数をもつ保守系の全国紙、読売新聞のこの動きは、日本政府主導の歴史修正主義キャンペーンに日本のその手のメディアが協力しているという疑いをより強めさせるものになった。その歴史修正主義キャンペーンとは、戦時中の日本の歴史と日本のアジア大陸に対する行動に、より好意的な光を当てようとするものである。

歴史修正主義者は女性達を自ら進んで民間のブローカーに雇われた売春婦であると描こうとするが、そのことはそうした女性達の出身地である韓国と日本の関係を冷え込ませた。日本の安倍晋三首相はパク・クネ韓国大統領との首脳会談を2012年12月以来一度も行っていない。

読売新聞は、日本語版英語版に同時に発表した謝罪文で、これからは「いわゆる慰安婦」 “so-called confort women”という文言を使うとしているが、それはより曖昧な表現であり、そうした女性達の苦境を過小評価したような言い方だという識者もいる。

1945年の日本の敗戦まで強制的に前線の売春宿で働かされた、主として朝鮮半島出身の20万人にも及ぶ女性達のことを表現するとき、主流の歴史学者や海外のメディアは、「性奴隷」 “sex-slaves”を使う。

読売新聞は、読売の英字紙“Japan News”、かつての“The Daily Yomiuri” 上の記事で、2013年までの10年間に「不適切な」表現が使われたとしている。同紙によれば、外部から編集方針を改めるような圧力はなかったと言う。

この9月には、歴史修正主義者を大喜びさせるような出来事が起こっている。それはリベラルな朝日新聞が戦中の性奴隷に関する1990年代の記事のいくつかを撤回したことである。

それらの記事は、韓国済州島で女性を誘拐して軍の慰安所に送り込むところを目撃したと主張する元日本兵、吉田清二のウソの証言に基づいたものだった。吉田氏はすでに2000年に死亡しているが、その証言は、学者やその他のマスコミによる第三者機関の調査で、ウソであるとして退けられている。

このことにより朝日新聞の重役が退職し、朝日新聞そのものは、記事の信頼性について読売を含む保守系のライバル紙から執拗な攻撃を受けた。

軍による強要の証拠はないという保守系の有力政治家たちの主張を受けて、読売新聞は以前の言い回しは、性奴隷を作ることが戦時の公的な政策であったという誤った印象を与えていたとしている。

金曜日の “Japan News” に載った声明で、読売は「読売新聞はこのような誤解を招く表現を用いたことを謝罪し、今後、社のデータベースにある記事の最後には、そのような表現は不適切であったという一文を付け加える」とした。

読売は1992年から2013年までに掲載した97個の記事を挙げ、そこに “sex slaves” または「不適切な表現」があったと言う。

読売を熱烈に支持する与党自民党は、日本版には「性奴隷」などという表現は一度も使われたことがない、と言う。

「『慰安婦』 “comfort women” という用語は予備知識を持った日本人でなければ理解が難しい。したがって、デイリー・ヨミウリでは、不正確な見識にもとづいて、海外紙の記事を参考にして、『性奴隷になることを強制された女性たち』といったような読売本紙の元記事にはない表現を用いたのだ」と読売新聞は言う。

朝日新聞や、その他ウソの証言をもとにして書かれた海外メディアの性奴隷関連の記事が日本の国際的な評判をおとしてていると言って叩いた保守系政治家の一人が安倍氏であった。だが、その安倍首相も、1993年に出された政府の女性たちに対する謝罪声明を見直すことまではしなかった。

ただ、歴史学の主流に位置する学者たちは、朝日新聞の記事撤回は、戦時中の日本政府と日本軍が女性たちへの強要に関与したという論点までをも無効にするものではないと指摘している。

Justin McCurry in Tokyo

http://www.theguardian.com/world/2014/nov/28/japan-newspaper-sex-slaves-wartime-coverage-yomiuri-shimbun?CMP=share_btn_tw

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