myarusu

みゃーるす · @myarusu

27th Feb 2014 from TwitLonger

『新しき世界』の空白の6年は映像化しない可能性も出てきた今、皆様いかがお過ごしでしょうか。兄貴のシノギである「建設」と「流通」に関して6年前の妄想のネタになるかもしれない個人メモを置いておきますね。


1.韓国組織犯罪

 日本の警察白書平成15年(2003年)の警察白書(http://www.npa.go.jp/hakusyo/h15/html/E1301080.html)より

・90年代の取り締まりによる大規模犯罪組織の弱体化と小規模新興組織の乱立
・上記取り締まりにより逮捕された幹部の出所による組織再建。そして、犯罪の巧妙化・組織化

 ジャソン潜入開始(2004年)の前年の状況なので、おそらくそれほど大きな変化はないと思われる。潜入捜査は当然大物を獲りに行くためにやることなので、チョンチョンを狙うことは考えにくい。それなりの立場の人間に近づいたはずだ。

 そして潜入開始から3年経過(確実にチョンチョンと組んでいる時期)した2007年時点での状況を示すページ(http://koibitosagasi.jugem.jp/?eid=16)がこちら。
 興味深いのは、222団体5269人という数字より、最大組織の構成員が76人ということ。これは日本でいう一次団体ではなく、二次団体と中小組織のカウントだとしても、やはり76人は少ない。最大規模の組織が3つ集まったところで300人に満たない。規模の小ささは日本の指定暴力団(http://bit.ly/1kb5W5c)と比べれば分かりやすい。

 また、ジャソンやチョンチョンのスタート地点である麗水がある全羅南道は15団体477人とのこと。この中で金を稼げるシノギを持つ組織にジャソンは入ったのかもしれない。もしくは、日本的な完全に傘下へ入れるパワーゲームではなく、横のつながりの同盟を結びその中の盟主が権力を持つ形だとしたら、ジャソンが狙った相手はその盟主になりうる存在だったのかもしれない。
 とりあえず、団体数や構成員数から見るに、チンピラチョンチョンが6年でのし上がれる可能性は、日本より遥かに大きいように思える。


2.兄貴のブレイクスルー予想 その1:建設

 チョンチョンがゴールドムーンで担っていた部門のうち、まず建設から。とりあえず、ラストシーン(2006年)以前のシノギは捨てる。あれ以前に何かあったかとは考えにくい。それ以降で旨味があったと思われるものを考えると時期的に思いつけたのは四大河川事業だ。

 漢江、洛東江、錦江、栄山江という4つの河川を22兆ウォンかけてダムや堤防の整備を行っていくというもので、2008年にスタートした際、着工式は洛東江地区からとのことだ。洛東江は麗水のある全羅南道地区も通っている。計画当初から金が流れ込んでいた地域の可能性があるのだ。

 ちなみにフランスのル・モンド紙によれば、2008年~2012年に行われた事業では、想定された雇用の1%すら創出できず、着工したボと呼ばれる小型ダムの16箇所のうち15箇所が手抜き工事(一例はこちらhttp://bit.ly/1fVDTzD)で崩壊の危機だという。
 人件費も増えず、建設も雑となれば、自然とどこかに金が消えた可能性を考える。まず第一は政治家だろう(課長がジャソンに、ナンバー2になれば国会議員の情報も手に入ると言った点ともリンク)。予算の分配と工事業者の選定に加え、ダンピングに次ぐダンピングで浮いた金は懐に入るだろう。そして、土建屋だけでなく、陸送業者にも金は流れてくる。忘れられがちだが、大型公共事業は運送業者にも福音となる。

 問題はこの流れにチョンチョンがどう食い込むかにある(ここからは想像タイム)。人足集めや陸送で食い込んでも限りがある。チョンチョンのブレイクスルーにベストなのは、権力を持っている人間(議員や行政区のトップ)を掌中に収めることではないだろうか。たとえば、ある架空の建設会社や運送会社に一次請けで仕事を与えさせ、二次請けに丸投げし差額分が全て儲けになる。など夢が広がってくる。一方で、うまい汁を吸う嗅覚に長けた同じ犯罪組織とぶつかりあうことは考えられるわけで、この計画で前面に立って動いているのがチョンチョンなら、当然的にかけられることも増えるだろう(ダンプカーに乗って敵対組織の事務所に突入するチョンチョンなど、とても絵になりそうではある)
 そして、この計画には議員等の弱みを握ったり、敵対組織を潰したりといった警察のアシストが期待できる部分も少なくない。笑顔で、議員を脅迫するチョンチョンなんて見たくはないだろうか。
 
 一度手に入れた金は企業買収に使っていけばいい。関われば関わる部分が大きいほど旨味は増すのだ。ちなみに四大河川計画は2012年4月に停止された。作中の現在(2012年夏?)、チョンチョンは次の儲け先を探しているのかもしれない。すでに地上げ→ビル建設、それも自前の建設会社というプロジェクトも完成しているかもしれない(『生き残るための3つの取引』のように)


3.兄貴のブレイクスルー予想 その2:流通

 流通に関して、陸送は捨てる。なぜなら地続きなのは北朝鮮だけで、韓国への直の陸送は考えにくいからだ。ここでは海上輸送で考える。

 ただし、麗水市は見込みが薄い。麗水光陽港湾公社のHP(http://www.ygpa.or.kr/jp/)を見ると、麗水港の船舶の接岸能力は余りに弱く、コンテナを船舶へ積み卸しするガントリークレーンもおそらく設置されておらず、港湾荷役は行われていないと思われる。一方、麗水港から海を挟んだ対岸にある光陽港は魅力的だ。
 TEU(twenty-foot equivalent unitの略。港のコンテナ取り扱い量を示す)において、韓国内で圧倒的なのは世界5位の釜山で16000を越える。だが、規模は大分落ちるものの2位は2000強の光陽港になる。ちなみに麗水港から光陽港までは李舜臣大橋を使えば車で10分ほどだというので、チョンチョンのシノギの場としては十分な距離といえる。

 港湾荷役は日本のみならず無法者が働く場ではあったが、すでに現在は機械化重機化が進んでいる。そのため、シノギの場としては荷役そのものより、積み荷で儲ける方が合理的である。しかし、海上輸送で一番のネックとなるのは税関の手入れだ(『悪いやつら』の冒頭で賄賂によって積み荷を見逃す様子や、逆に『共謀者』では密輸した荷が手入れによって押収される様子が描かれる)。それをかわすには、犯罪者として巻き込める賄賂が最適である。また、作中の現在は光陽港から釜山港にベースが移っている可能性がある。取り扱い量が多ければ多いほど、リスクは低下する。

 さて、出口を押さえただけでは「流通」とは言えない。入口も押さえなければならない。チョンチョンの出自を考えれば、中国が当然予想される。作中で上海(上記のTEUでいえば上海港は世界一である)に向かったのも海上輸送を考えれば納得がいく。だが、大学への進学差別の結果台湾に渡った華僑の数が多いとのことで、台湾の高雄も荷の入口なのかもしれない。当然、入口となる港の税関を押さえるのも賄賂だろう。
 税関を押さえれば、途中で荷を運ぶ船や積み前卸し後の陸送に関しては問題がなくなる(量次第では船員に持たせる手もある)。中身がなんであろうと、確実に運ぶ業者さえ用意できればいいのだ。作中の現在では空輸やフェリーを使った手段も考えられるが、船は運べる量が段違いだ。40フィートコンテナ(約12m×2.5m×2.5m)の箱を飛行機に入れる事、それの積み卸しを考えれば分かりやすい。

 さて、問題は積み荷だ。これが難しい。作中では具体的にシノギとして出て来ないが、薬物は考えられるラインである。韓国での薬物需要は増えているとのことなので、供給が必要となる。そして、一大産地である北朝鮮だが、漁船などで海洋で受け渡す際のリスクは大きい。だが、中国経由なら?
 北朝鮮からの輸入薬物を中国で取り締まる(http://33765910.at.webry.info/201107/article_4.html)ということは、そこから溢れる分もあるはずである(なんせ中国だというのは偏見か)。とはいえ、取り締まりがあるということは、取り締まられない分もあるということにもなる。同時に中国を介した場合、リスクが低下する。取引予定の荷を買い付ければ、加工することもバンニングすることも現地任せでいい。

 また、コンテナは当然のことながら「中に何か入れて運ぶ」ことになる。行きと帰り中に荷物を積めばいいのだ。行き(韓国→中国)は韓国で盗まれた車または家電製品を積む。帰り(中国→韓国)では農作物を積む。大量の薬物より別の品目に混ぜるのは、薬物以外の取引で利益を生むことになる。もっともこの荷の推測が難しく、かなりの推測が混じっていることを付記する。
 ちなみに釜山港経由日本行きの取引にも関わっているとすれば、そこで中間業者としての手数料を得ている可能性もある。アムステルダム発の重機に覚せい剤が隠され、釜山を経由し日本に運ばれ摘発された事件も起きている(http://matome.naver.jp/odai/2135631412159611501)

 さて、この場合チョンチョンが巻き込まれるのはなんだろうか。チンピラ時代の窃盗から始まり、薬物の売買をめぐるトラブルとそれによる敵対組織との衝突、盗品の処理に関する中国現地組織との対立、税関の買収をめぐる駆け引きなどがあるだろう。その全てにおいて、警察の関与があれば、俄然チョンチョンは有利な立場になる。ただ、チョンチョンと薬物は結びつかない側面がある。しかし、巨大組織で流通を担う人間が薬物に関与しないことは考えにくい。部下には自らの使用は御法度にしたというのが、妥協案だろうか。それと、釜山港の発展は90年から00年辺りなので、社会情勢がブレイクスルーになる可能性は建設よりも低いかもしれない。


4.最後に

 今回は本国の姐さん方が現実的と思えるような推測を日本の資料だけで挑戦するという無謀なものになった。果たしてどうだっただろうか。同時に、ひとつ気づいた可能性がある。ジュングがチョンチョンに2回会長殺しを尋ねるのは、もしかしたら北大門組のボスをチョンチョンが排除した(疑惑がある)ためではないだろうか。

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