「新しき世界」についてネタバレに気を使った感想からそろそろ脱却したいな、と思っていたらすごく便利なサービスがありましたので、映画を見てからずっと考えてたことをいまのうちに書いて残しとこうと思います。私はちょっとあふぉな子(な上に韓国映画初心者)ですので、人の名前とか固有名詞は二回見た現在でも微妙に自信がないので、「ん?」って思っても適当に類推していただければと思います。

初見の印象から言いますと、主人公が潜入捜査官、ってこと以外に完全に何の情報もない状態で映画が始まりまして、おじさんが血まみれで「裏切ったのは俺じゃねぇ」って言ってるのに信じてもらえなくてコンクリ飲まされてドラム缶に詰められて海に捨てられ、でかい組織の会長が予想外の事故で死にそうになり……となるとその下にいる人達が集合してくるのはヤクザ映画でよくある流れなので、ここでキャラクター出揃うのかな、と楽しみにしてたら、けっこう、びっくりしましたよ。何にって、飛行機で上海から飛んできた白いスーツ来た序列NO.3さんのお顔のテッカテカぶりに…。なんかすっごい面白い人降りてきたな! と思いました。

お迎えに来てた皆さんの「やだ、この人、空港で大きな声出して恥ずかしい……」の空気というか。え、あなたスリッパで降りてきたの……? というか。イ理事困ってるやん、しかも偽ブランドのおみやげとか完全に苦笑いやん、なんかもう超、冷たくされてるやん……。というか行動が完全に子供やん、この兄貴……。男前スーツさん(というかジャソンさん)大丈夫なのか? 着いて行くのがこの兄貴で。

ボスの葬式のシーンで操作企画課の若い衆がガン撮りに来てるのを聞いてジュングがブチ切れて出て行ったのを、目配せで「なにあいつ」「知りませんよ」「オヤジの葬式中だぜおい」みたいな会話をテカテカさんと空港にお迎え行った理知的なスーツの人がしてるとこで、「おや、この二人わりと仲がいいのか?」と思ったりしてました(えっと、これはあくまで初見時の感想ですので)。

とにかくこの時点では誰が潜入捜査官なのか私、わかってませんでした。後に囲碁の先生として出てくるシヌ姐さんが誰かと電話で喋ってたところまでは映画自体も誰が潜入操作感なのかわからない作りにしてたと思います。(2回目見た時にこのシヌと誰かの電話のシーンはジャソンの裏切りを懸念したカン課長がソンムの情報とジャソンの情報を照合させてるんですよ、の提示だと気がつくんですが)

思ったこと全部書いててもしょうがないのでジャソンが主人公だとわかってからのおお、と思ったポイントを箇条書き的に書いていきます。
・その釣り堀、魚いないよね? あと、水とかたぶん超臭いよね? でもすごく長いことそこにいるよね、課長 ・嫁まで見張り役とか、どんだけ信用してないんだ(けど逆に言えばちゃんと手の届く範囲にアンテナ張っていざという時のジャソンの安全も考慮してたのかも) ・いくら嫌いだからって「車で轢き殺すふり~」しちゃうとかほんと思春期だな! かわいいな! ・課長の車汚すぎないか ・豪華な朝食食べさせてもらってる部下の食べ方が汚いけどジュングさんがぜんぜん気にしてなかったところ ・一方ジャソンさんとこのソンムさんは「バカ野郎」となじられようが、スリッパキックされようが、代わりにビンタ(この身代わりになって兄貴にあれこれいじめられるのが後のすごくいい伏線になってた気がします。)されようが嫌な顔ひとつしない、と、とてもしつけが行き届いていたところ。

・一回目見た時には雨の中港湾倉庫に呼び出されての、潜入だとバレたのかも、どうしよう、のシーンのあのジャソンのうろたえぶりと大汗がとてつもなく心配になってドキドキして、え、もう一人ってソンムだったの? じゃあバレなかったの? からの、実はチョン・チョンがジャソンの裏切りを知った上で黙ってた、って気付いてから頭の中がぐるぐるすごい渦巻きでいっぱいになったんですけど、ラストまで見た上で二回目見たら、ほんとにチョン・チョンすら、ギリギリまでジャソンの裏切りをいつ暴露しようか、みたいなものすごい緊張状態だったことに気が付くんですよ。実は、あそこはジャソンにとって、というよりもチョン・チョンにとっての土壇場だったという。裏切り者とバレたかもしれない、と心中で恐慌状態になったジャソンが普段のクールなキャラかなぐり捨てて、あそこまで、汗びっしょりで目はうつろになり、チョン・チョンの顔もろくに見れない、しかもぼろぼろになったシヌ姐さん見て心底怯えきってる、という状態なのを見て、もしかすると哀れになったのかもしれないけど、あの倉庫にジャソンたちを呼び出した時点では、チョン・チョンは自分でカタをつける気だったと思います。

そしてそこを踏まえての「お前は俺を許せるか?」なんじゃないかなと。あくまで個人的な想像ですけど。

箇条書きに戻ります。
・ゴルフクラブとかバットとか、鈍器で迫ってこられるって、銃器と違って逆に「楽に死なせてもらえなさそう」で怖い。 ・刺身包丁も怖い ・チョン・チョン兄貴しぶとい。ほんとにしぶとい。あの襲撃で普通の人間なら5回ぐらい死んでたはず。 ・何が悲しいって、チョン・チョン始末するのにジュングが手を下したんじゃなかったら、その役目はジャソンがやることに(カン課長の中では)なってたこと。 ・もし襲撃の指揮を取ってたのがジャソンならあれだけ犠牲出して本星うっかり生かしとくようなヘタは打たなさそうだったところ。 ・ジュングさんは死ぬ時まであの俺様キャラ貫いてた! かっこよかった! ・会長が亡くなった時に一番ショックだったのもジュングさん。だってずっと右腕だったんだもんね…。 ・会長殺したのチョン・チョンだと思ってるからこそのあの車で嫌がらせだと思うとかわいい。 ・建築・流通牛耳ってるんですよねチョン・チョン…。つまりあのタンクローリー……。 ・延辺の物乞いさんたち、日本ならたけし軍団の出番だよな、とずっと思ってた。少なくともダンカンは入るはず。
 
・ヤン理事役のチャン・グァンがすごく邦画で見たことある感じの顔で…

・この映画、人死にまくるのになんかノリがキャッキャしてるというか、変な祭り感ありますよね。この空気感は他の韓国映画にも共通なんでしょうかね? 漫画が原作なんですかね? みたいな感じといいますか。

・噂の削除シーン、本編よりも回数見ちゃいけないなと思って2回しか見てないんですが、惜しいけどこれ入れちゃうと時系列とか心情の変化とかが地殻変動起こしちゃうので、ほんと惜しいけど、本編には入れられないんですよね…。あのジャソンに煙草くわえさせるとことか、腕つかんで引き止めるところとか、もったいないオバケが出そうですけど!

ブルーレイ発売されたらもうちょっとマシな感想を書けると思います。今回はこんなとこで。
あ、言い忘れました。カン課長もコ局長もチャン・スギも始末してトップに上り詰めたジャソンさんの孤高の美しさと寂しさ、半端無かったです。


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