★@HEAT2009さんの【炎の連投】【討論!】亡国最終兵器TPPの真実・Part2[桜H25/3/16]より(2013年3月17日11:26~15:01)

@HEAT2009: 連投するよ。

井尻千男「先日ある会で古代中世の都市国家がなぜ滅んだかという都市国家論を話す機会があった。結局この関税自主権ということをいわば否定形で放棄する或いは放棄させられると、その都市国家は一挙に衰退・衰亡、つまり形をなさなくなる。それくらい国家にとって関税自主権は聖域」。

東谷暁「関税の権利を今回はみんなで弄んだんだと思う。聖域なき関税撤廃なんてどこの国もできるわけがない。米国こそできない。米国は砂糖とか酪農製品・乳製品というものに関しては今までのFTAの中で拒否してきて、これを例外品目としてきた。しかもTPPを始める際に、米国の立場として、今まで獲得した関税の例外品目は譲らないと言ってた。

 それに対して、安倍首相が日本国民に対して議題設定するときに『関税の完全撤廃、オバマ大統領がどう言うか訊いてきたい』というセッティングをしたというのはやはり日本国民に対する裏切りだったと思う。
 
 そういう意味では、今回の安倍首相の訪米およびオバマとの共同声明は、残念ながら安倍首相にとっての汚点になるだろう。私は今の安倍政権はかなりいいことやってると思ってる。しかし、米国との同盟関係を強調しつつTPPもどうにか解決しなくちゃいけないというのだったら、真正面から論じるべきだった。『私は同盟のほうがよっぽど大事なんだ、だからTPPはこの際いくつかの条件によって妥協せざるをえない』と安倍首相が言うのならまだ解る。もちろん私は反対し続けるが。
 
 そこをある意味で非常に小賢しいやり口で、国民の前にアジェンダセッティングをして、それが認められたといって帰ってきて、TPP(交渉)参加宣言をしたというのは安倍首相に対して納得のできないこと」。

関岡英之「世の中の風というか空気を考えると…、安倍政権の様々な政策は我々も支持するものが多く…、なかなか今、安倍政権に対して批判というか棹さすのは非常にしにくい空気がある。唯一、TPPに関してだけは意見が違うわけだが、TPPに関しても中々反対論は言いづらい空気だと思う。

 わが国の安全保障環境が非常に厳しくなる中で、やはり日米同盟だと、少なくとも現在の日本にとっては全ての政策の基軸にあると、であれば同盟のある程度のコストとしてTPPという大きな妥協もやむをえないんじゃないかとお考えになっているかたが保守の層にも多いと思う」。

亀井亜紀子「TPPについて井尻先生が関税自主権は聖域だとおっしゃった。確かにそうだが、ただ今までの一連の議論で気になることは、最初から最後まで関税の話しかしていないわけで、つまりこのTPPという多岐にわたる問題について農業の関税についての部分だけがクローズアップされて、そして例外品目がこれだけ獲れるからいいんだというような論調にもっていこうとしている、そこから脱するためには、私はあえて、関税の部分はあまり強調せずに非関税障壁が怖いんだと、そしてその規制調和、つまりグローバルスタンダードに日本の国家としてのあらゆる規制を変えていこうというそこが一番の目的、怖いところであって、いかにその部分を強調することによって国民に真実を知らせていくかというのが今後大事になってくると思う」。

片桐勇治「関税も農業も大切なんだが、非関税障壁ふくめ広範な問題の話になってる。ひじょうに気になってるのは、英語の公用化が最近いわれはじめている。文藝春秋の4月号でも、三木谷さんと竹中さんが、安倍内閣の本丸は規制改革だと、その中で英語の公用化をはっきり言ってる」。

東谷暁「TPPはグローバリズムに追いついていくためのものなんだという言い方をずいぶんしているが、米国が中心となって進めたグローバリズムは失敗したわけ。それは二度にわたって失敗した。

 IT革命といってITの投資を米国にドルが戻ってくるようにしてグローバリズムを進めた。その後は今度は住宅バブルを半分意図的に起こして結局、自分たちが消滅していった。グローバリズムは失敗したから。そのあと一生懸命に財政出動も金融緩和も米国は5年間もやっている。5年間やってなかなか回復しなかった、2~3年やって回復しなかったから、それで始めたのがTPP。

 オバマ大統領は失敗したことを前提に考えていた。TPPやFTAによって、オバマは2011年の一般教書で『2014年までに輸出を2倍にする』『この国の雇用を生み出す』ためなんだとはっきり言ってる。そのために『貿易協定を強化する』と。2013年の一般教書でも『海外からアメリカ国内に雇用を戻す』と言ってる。で、『輸出を拡大するため交渉妥結を目指す』。
 
 つまり、グローバリズムが失敗したからブロック経済にすると言ってるわけ。それに対して経団連あたりは『グローバリズムに置いて行かれると大変』(だと言う)。そうじゃない、もうグローバリズムはいったん終わり、その後どうするかという、米国がTPPを出してきていると考えないと、我々はもの凄く矛盾して議論することになる」。

亀井亜紀子「TPPの本質は規制緩和だと思う。そして、規制を調和していく。ひとつのルールにしてどこの国でもモノを売りやすくする。その規制と言うのは声の強い国の規制になるから、米国を中心とするいわゆる多国籍企業の規制(主張)に合わせられるだろうと。

 安倍政権を見ていて問題だと思うことは、これは小泉政権の延長で、小泉政権の頃に規制緩和の会議が政府の中にあって、オリックスの宮内社長が長いこと会長を務めて、そして自分のビジネスにプラスになる緩和を政府の会議で推進していった。今それと同じように、楽天の三木谷さんが入って規制緩和を行なう。例えば、医薬品のネット販売が全面解禁になったときにもちろん彼(三木谷)の会社は儲かる。
 
 だから、自分の会社が儲かるような規制緩和を政府の会議で、彼は国民から選ばれてもいないのに、そこで推進をする。そこで決まったことを国会議員がただ粛々と従って採決をしていくというのは非常におかしい。どうして一部の業界の片棒を担ぐみたいな政治を安倍さんがするのか、大問題だと思ってる」。

関岡英之「さきほど、グローバリズムは失敗したと出たが、私は構造改革そのものが失敗してると思う。我が国が構造改革をいつから始めたかというと、平成改年(1989年)のときに父ブッシュ大統領が日米構造協議を提案してそれが発端」。

※関岡が出したパネル「構造改革20年→米国の要望に基づいていた」⇒ http://twitpic.com/cbzdim

関岡英之「要するに日本という国家は経済にしても社会にしても構造的に歪んでいると、それを叩き直せという要求だった。その後の宮沢=クリントン首脳会談とか橋本=クリントン首脳会談とか小泉=ブッシュ首脳会談、これ連綿と。例えば橋本内閣の『6大改革』、小泉内閣の『痛みを伴う聖域なき構造改革』、こういった大きな改革政策を打ち出す重要なエポックごとに日米首脳会談が行なわれていて、実は改革のメニューの多くが米国からの要望に基づいていた。

 我が国は平成改年以降、今年は平成25年なので20年以上にわたってなんらかの形で改革をやってきた。で、その結果が出ているのか。失われた20年といわれるように、この改革の20年はまさに失われた20年と重なる。構造改革はやってもやってもうまくいかない、であれば明らかにそれは処方箋が間違っていたんじゃないか。薬を飲んだにもかかわらず病状が悪化したら処方箋が間違ってるんじゃないかと普通はそこで立ち止まって考えるが、そこで考えずに薬を飲み続けて自分が死ぬときには今度は子供にその薬を飲ませるのかと。子供や孫に迷惑をかける話になる。我々はこの20年間の改革という来し方を根本的に反省して、間違ってるんであれば正すべき、正さないと将来に禍根を残すと思う。
 
 なぜ間違っていたか。日米構造協議が構造改革の原点。言葉の中に言い尽くされている部分があって、米国提案なので英語。『Structural Impediments Initiative(構造障壁イニシアチブ)』。Structuralが構造改革のもとになっている」。

※関岡が出したパネル「構造協議の原点 SIIとは?」⇒ http://twitpic.com/cbzgow

関岡英之「Impedimentsは障壁で、TPPで撤廃を迫られる非関税障壁のこと。問題はInitiativeという言葉、これはあくまでも米国側の提案なので、米国から見て日本に存在する非関税障壁を日本が構造改革を実行することによって撤廃していきなさい、その結果、米国の財とサービスを日本に対しもっと輸出を拡大すると、それに尽きる。それを全て米国の主導権のもとでということ。ところが当時の役人かマスコミが、イニシアチブという言葉を意図的に『協議』とか『交渉』という言葉に置き換えて、あたかも対等の立場の交渉のように装ってやってきた。しかし実際には、年次改革要望書とかTPPというツールを使って、あくまでも米国が日本に迫ってきた。じゃあ日本が何か提案して米国が構造改革をやった例があるのかといったらひとつもない、これはあくまでも一方的なもの。

 安倍総理が就任してから、自民党には交渉力があるとか突破力があると、交渉してダメなら拒否すればいいと、机を叩いて椅子を蹴っ飛ばして出てくればいいと威勢のいいことを言う。私は『拒否できない日本』という本を書いて出てきた人間(笑)。日本は米国に対して拒否権をもっていないわけ。
 
 自民党が民主党より交渉力があるのは事実だと思うが、これは能力の問題ではないと思う。日米の構造的な力関係を変えない限り、どんなに優れた政党・政治家がリーダシップを執って交渉に携わったとしても、克服できない大きな壁がある。それはなんといっても安全保障という国家の根幹を米国に依存している限り日本は米国に対して拒否権を持てない。
 
 安倍政権は非常にいい方向を打ち出してると思う。自主憲法制定、国軍創設、これらが全て実現する暁になって初めて日本は米国に対してノーと言える、対等に交渉できるわけだが、残念ながらそれには数年かかってしまう。TPPの交渉はこれより先にきてしまう。つまり拒否権がないまま交渉に参加すれば結局はこの過去25年の歴史を繰り返すことになるということから私は(TPP)反対の立場を変えていない」。

亀井亜紀子「英語の件で、さっきの誤訳の問題。そもそもTPPは『Trans-Pacific』、環太平洋だったら『Pan-Pacific』。ここでそもそも訳が違う。トランスは、要するに太平洋の両側の国。はっきり意図が出ている。意図的に誤訳している」。

東谷暁「日本国内の特定の企業に利益誘導になっているという話があったが、世界構図で見ると、これは黄色とオレンジが日本、青が米国」。東谷が出したパネル(日米のTPP交渉をめぐる連携と圧力の構図)⇒ http://twitpic.com/cbzm5s

東谷暁「交渉をしているのはWH・USTR・国務省などの政権だが、実際に背後で動いてるのは圧力団体。その尖兵になってきたのは法律事務所とシンクタンク。法律事務所ホーガン・ロヴェルズが有名だが、ここの最高顧問はクレイトン・ヤイター。ジャパン・パッシングの大立者がそこで蠢いてる。シンクタンクはどこかというと、小泉進次郎が属していたCSISと、IIE(ピーターソン国際経済研究所)。フェルドマンですね。あの連中が根回しをするわけ。根回しをして、シンクタンクから情報をいただいているのが日本のマスコミ。この圧力団体は日本では殆ど報じられない」。

@HEAT2009: ※昨日、自民党政務調査会主催の「政策セミナー」に甘利TPP担当相とロバート・フェルドマンが登場⇒ http://bit.ly/XKd7rk 当然、規制改革の話に。

東谷暁「いちばん大きいのはCSIという所。他にも全米商工会議所とか全米農業協会とか、いちばん動いたのはCSI(全米サービス産業連合会)。ここには31団体が属しているが、そのうちの10団体が保険、4つが金融関係。圧力をかけているのはどこかというと、ウォール街ですよねえ。こんかい日本の報道は、この圧力団体の部分と、面白いことにシンクタンクのところを全部好意的に報道している」。

関岡英之「農業vs輸出産業、JA対経団連という対立の図式を作ってマスコミは単純化するが、これは間違い。TPPに米国が参加するにあたって2つの作業部会の設置を要求して認められた。最大の狙いは金融とISDを含む投資。貿易よりも投資、日本のマスコミはどういう訳か伝えようとしてない」。

亀井亜紀子「私はTPPの問題、怖さというのは、関税よりも非関税障壁であらゆる規制が変わる、日本を解体していくひとつの大きなトリックであるとの視点から、国会質問で、私や舟山康江さんをはじめ、わざと農業を外して、投資・金融・自動車・保険とかを指摘して、この規制改革はどうするのか求められてるよと、ISD条項はどうするのかと質問すると、あえて答えない。こないだの代表質問でも私が訊ねた。なぜ規制調和する必要があるのかという質問に対して、いっさい答えない。とにかく、守るべきものは守るとその一言だけで、何も答えようとしない。だから、分かっていて、あえて見ないようにしてるとしか思えない」。

関岡英之「私も不思議な経験をした。これは去年の総選挙のときの自民党の政権公約(パネルを出す)。TPPに関して6項目の条件を挙げている。一つ目に「聖域なき…」。それ以外に5項目ある。一つ目が関税に関するもので、それ以外の5項目は全て非関税障壁に関するもので、自民党自身もその問題は理解していると思う。少なくとも去年の選挙の段階でこういう公約を掲げたということは、TPPは単に関税撤廃の話だけではなく非関税障壁つまり規制緩和とか構造改革の継続版だと、それはもしかしたら日本の国益にマイナスになるかもしれないと問題意識があるからこそこの6項目を公約に掲げた。

 で、わたし、2月7日に『TPP参加の即時撤回を求める会』の集会を傍聴した。そのときの最大の争点は、政府の側がこの6項目が政府の基本方針だということを認めるかどうかという一点だった。その場には外務省の審議官と経産省の審議官が来ていた。TPPを推進する役人の代表が来ていて、自民党の国会議員たちがその二人に対して猛烈に迫った。自民党はこの6項目を公約に掲げて政権復帰を果たした、つまりこれが民意なんだからこれが政府の方針でなければおかしいと。この6項目はセットであると。
 
 で、なぜか新聞の報道を見てると一番目の関税の問題だけが独り歩きしていて、そこさえクリアできれば、(米国が聖域を認めれば)もう自民党は反対する理由がなくなって、交渉参加に突き進むというのはおかしいと、反対派の自民党議員たちがさかんに役人に詰め寄った。これを認めるか、6項目セットを認めるかというと、役人は絶対に認めない。のらりくらり答弁をして、質問されると『聖域なき…』が政府の方針でございますと、同じ答えを執拗に繰り返す。反対派の議員たちは当然、激昂してさらに詰め寄る。すると役人たちはヒソヒソ相談して『聖域なき…等の』問題ですといって残りの5項目を全部『等』に絡めとって、乗り切ろうとする。
 
 あれは、非常に異常な光景に見えた。役人が、与党の国家議員の要求に従わない、徹底的にそこで抵抗している。非常に驚きだった。翌日の新聞を見てみたら、その場で起きたことと全く違う報道になってる。その場にはたくさんのメディアが取材に来ていて、マスコミオープンの会だった。新聞を見ると、反対派の議員たちは一番目の項目を確認したという話になっていて、、5項目の話は殆ど出ていない。
 
 つまりマスコミはそこにいて、全部、百も承知でありながら、全く違う報道をして、国民に誤った情報を流しているというのを私は現場で目の当たりにした。これはいったいなんなんだろうなと。マスコミは明らかに役人と結託している。これは役人の方針なんですよ、5項目については触れたがらない、質問されても答えない、絶対に認めないというのは、役人が突っ張ってる。それに関してマスコミも100%同調して、産経から朝日まで一緒。この構造はなんなのかなと、私は不思議に思った」。

@HEAT2009: ※関岡が言ってる外務省の審議官と経産省の審議官というのは、たぶん、斎木昭隆と佐々木伸彦だろうね。

亀井亜紀子「本当に、十分にわかってるはずなんです。大勢の人が指摘しているが、初めから、誰も守る気がない、関税以外のものを」。

@HEAT2009: 東谷がパネルを使って「日本の公的医療危機は第二段階へ」⇒ http://twitpic.com/cc00gh という話をすると、亀井亜紀子は「私は与党側にいたけど、それ全部、出てきていた。行政刷新会議で。蓮舫さんが担当してるところ。全部その項目でていた」と。

亀井亜紀子「特区でやってしまおうと。東北で穴を開けるというので(パネルの)、第二段階まで来ていて、第三段階の混合診療、これはいま竹中さんが成長戦略の所に入ってきて、大田弘子さんとかあの人もずーっと混合診療やれと、だから、今まさに声を上げているところだと思う」。

東谷暁「混合診療はそんなにいいことなのか」。

関岡英之「この話はTPPから離れてしまう。安倍政権の話になってくる。三本の矢、一本目と二本目の矢は基本的には問題ないんじゃないかと、短期的には。問題は三本目の矢。安倍政権は成長戦略と称しているが、実は菅政権とか野田政権の頃から成長戦略という言葉でいってて、それをそのまま、政権が交代したのに同じ政策を推進してる。これは明らかに役人主導。

 多少、安倍政権は政権交代したことを演出するために蓮舫が率いていた行政刷新会議を廃止して、その代わりに経済財政諮問会議と規制改革会議を復活させたと(プラス産業競争力会議)。
 
 メンバーを見ると、竹中先生に象徴されるようにまさに小泉政権時代の構造改革路線の完全復活。その成長戦略の中に、目玉として混合診療が入ってる。これはTPPに参加するしないに関わらず、安倍政権の三本目の矢、これは推進していくという流れができている」。
 
亀井亜紀子「この背景(混合診療)にあるのは、けっきょくどこが儲かるかというと、薬を作ってるところと、民間の保険会社。自由診療が拡がれば拡がるほど保険に入っておかないとと。国民皆保険でみんなが保険証をもっている状態は変わらなくて、それを国民皆保険を呼ぶが、それによって受けられる診療の対象はもの凄く狭くなって、自由診療で自分でお金を払いなさいというところが大きくなる、でも、国民皆保険は維持されてるでしょと言って、そこは逃げられる。で、民間の特に外資の保険会社が得をするからこれを狙ってるってこと」。

関岡英之「自由診療、混合診療が解禁されて儲かるのは製薬会社と保険会社だが、どちらも外資なんです。製薬企業については完全に日本が赤字(輸入超過)。がん保険はアフラックが日本のシェアの75%を握って独占している。アフラックはテキサスに本社があるが米国での売り上げより日本での利益のほうが遥かに大きいという特殊な会社。日本でまるまる儲けてそれを本社に送金してる。それがもっともっと蔓延してしまう」。

亀井亜紀子「郵政民営化のときには、自民党の中にかなり元気のある人たちがいた。だから、反対を貫いて参議院で法案を否決するだけの力を発揮した。でもその結果として、小泉さんがやったことは、解散をし、しかも刺客を立てて、公認をしないとやったので、いま自民党の議員たちは、おそらく、ビクビクして、郵政民営化のときほどに頑張ることができないと思う。

 郵政のときでさえ、法案の採決で、衆議院は5票差、参議院では否決。衆議院でまず否決したかったが、一晩でひっくり返るようなひとがいた。で、自民党から離れて選挙を闘うような度胸のある人がいない。ましては新党なんて作らない。国民新党を作っても、新党まで舵を切る人はいなくて、無所属で勝ち上がって、どこかのタイミングで自民党に帰りたい帰りたいといって、帰してもらった人たちがいっぱいいる。
 
 そうするとこの人たちは、、政治的理念は同じなので、これ(TPPは)郵政民営化とベースは同じで米国の外圧だから、反対だと言うだろうが、一度出た人はもう一回がんばって突っ走るだけの元気はないと思う。最後、党が決めたんだから仕方ないといって従ってしまう人たちが大半なのではないかと心配している。
 
 TPPは条約だから、最後、国会で批准する。最後は国会での過半数の戦いになってくる。そのときに、今の体制で、党議拘束がかかって、反対できるだろうかと」。
 
水島総「安倍さんと年末お会いしたとき、竹中さんはまずいんじゃないですかと、絶対にやめて下さいと、我々みんなそう思ってますからやめて下さいと話をしたときに、安倍さんは、『政治ですから、政治と考えてくれますか』と。『みなさんの言ってることは解ってる』という言い方をなさった。ま、いろんな意味があると思うが」。

長尾たかし「ちょっと心当たりあるのは、一昨年、ある会合に出て、主催は基本的にはTPPを推進する議員たち。私はルール作る側に立てるならいいけどそういう状況じゃないから私は反対だと申し上げた(隣は安倍(当時)衆議院議員だった)私も同じですと。交渉をできる体制にないからということを(安倍さんは)仰られた。私はその気持ちを信じていきたい」。

水島総「もうちょっと前に会ったとき、関税自主権はどうするんですかと訊いたら、『それは絶対に譲りません』と。農業とか色んな分野がありますねとどうしますかと。『いや必要なものは絶対に守ります』と。それだったら総理(そう呼んでいた)それはTPPではないですよという話をしたら、政治ってのがあるからと、そういう言い方のニュアンス」。

関岡英之「竹中の問題について政治と仰ったんですか?」。

水島総「これは個人的な見解。私から見れば、竹中さんとか推進派のローソンの社長とか、ああいう人を全部取り込んでいる。味方にならなくてもいいから敵にしない、このやり方をずっとやってますよ」。

東谷暁「安倍さんが第一次政権を降りだして直後に西部邁先生の勉強会を始めた。そのときはみんなフランクにものが言える雰囲気で、私も参加した。何を言ってもあの方(安倍)は『そうですね』と。ただ、私が一回だけ竹中平蔵はやはりあれはテクノクラートだから警戒すべきだと思ってますけれどと言ったら『そうでしょうか』と、このときだけ全く違った。

 安倍さんの色々な発言を見ていくと、強い日本ということと、新自由主義的なものの繋がりはあると認めたほうがいいと思う。もうひとつ、TPPが完全に固まって、日本が批准するかしないかのときに、拒否する役割を安倍さんに担わせるわけにはいかないと思う。安倍さんは推進してしまったんだから、そしたら2年後なり3年後に新しい政権、やっぱりしっかりした人に立ってもらって…。
 
 自民党はいま条件闘争に入ったと。その中でいくつもこれは認めることができないと自民党は表明している。これが全部、満たされてないということで、否決していくという論理は立つと思う、批准の場合にね。6項目を含めて。今の安倍さんは私も支持する。第二の矢までは。
 
 思い出していただきたいのは、サッチャーはユーロに参加しなかった。あんな圧倒的な圧力の中で、サッチャーは英国の国のあり方を考えたとき、大陸と一緒になってはいけないんだと。
 
 当時のエコノミストが面白いことを。我々にとってユーロは4つの選択肢がある。①直ぐ入ってしまう。②永遠に入らない。③良ければ入る。④悪ければ入らない。私はこれくらいの選択肢の中で考えて、大胆さをみせても良かったと思う」。
 
関岡英之「安倍さんが掲げているTPP参加、自主憲法の制定や国軍創設ようするに自主防衛への道。これ、矛盾する。矛盾することをあえて掲げている。私は、参議院選挙に勝つまでは、米国に対してネコかぶってるんじゃないかなという気もする。そもそも安倍さんは、就任後、最初の訪問国として米国に行きたいと表明したが、米国はそれを受け入れなかった。結局お土産はなんなんだと突きつけられて、それが明確にならない限り訪米は受け入れないとそうとう圧力かけられたと思う。それで東南アジア歴訪を先にした。

 岸信介と同じパターンになった。米国は訪米したいんだったらTPPについてなんらかの土産をもってこいというような圧力を安倍さんにかけたでしょう。安倍さんとしてはとりあえず、今度の参院選に勝てば向こう3年間は選挙がないわけだからそのとき初めてやりたいことができる。ひょっとしたらそのときに、米国に対してかぶっていたネコをかなぐり捨てる可能性はゼロではないと思う」。
 
亀井亜紀子「それは危険な賭けだと思う。(TPPは)交渉してみたいとわからないと、まずは入ってみて、守るものは守るといって交渉に入っていって、入らないってことは交渉に負けましたと言ってるに等しい」。

関岡英之「保守というのは、何を守るべきかといったら、日本の固有価値。TPPに入って米国と経済的に一体化するっていうのは保守の理念から完全に矛盾している。私は安倍さんがそういう方向に突き進んでいくとはどうしても思えないんだけどねえ。

 自民党の6項目の公約の中で、私は、一番重要なのはISD条項だと思う。公約の中にも『主権』という言葉が入っている。小池百合子先生ですら主権に関わるISDには反対といってるくらい。豪州も米国に対して抵抗している。我々が、ISDだけは絶対に受け容れられないという世論を喚起していって、そこを最大の焦点化にしていけば、私は交渉を決裂させるという戦略を考えなきゃいけないと思う。参加表明してしまうんだから、それをどうやって潰すかって話に移りたい」。
 
東谷暁「(ISD)オーストラリアが米豪FTAでこれを蹴った。米韓FTAでは、韓国は無理やり認めさせられてしまった。勝ち負けがあるものだってこと」。

関岡英之「ISDSの何が一番問題かというと、内政干渉。今まではまがりなりにも米国政府というものがいて国内のロビー団体からの要望を集約して、あくまでもガバメント対ガバメントで政府間交渉として外圧をかけてきた。

 ところがISDSを呑んでしまうと、米国の個別の企業、これは一個人でもいい。要するに米国政府すらコントロールしてない中で、米国の業界とか個人なんかが無秩序に日本政府に対して様々な外圧をかけてくる、そのときにターゲットにされるのは日本の制度であったり政策であったり法律、まさに内政干渉を米国の一般人に開放してしまうという、それは米国政府といえどももはやコントロールできないカオスの状況を作り出してしまうということ。ところが米国の財界は自分たちにとって使い勝手がいいので世界に普遍化しようと20年位前からやっている。

 相手が米国となると、日本が投資を受け容れる被投資国となるから、訴えられる蓋然性が高まる。それと日本のマスコミが異常なのは、去年の3月に米韓FTAが発効して、韓国が毒素条項を呑んじゃった。早速その年の暮れには韓国政府がローンスターに訴えられた。外換銀行売却で2800億円も儲けているにもかかわらず、韓国政府が売却を遅らせたためにもっと儲かるはずだったのに儲けが少なかったという理由で訴えを起こした。

 これ類似したことが、長銀や日債銀がつぶれたときにリップルウッドやサーベラスに買収された。これ同じようなことが日本で起きてくる可能性があるし、民営化を見直したことだけで訴えられたケースもある。いかようにどんなことでもできる。例えば、TPPの協定に仮に、安倍政権が交渉力を発揮して一切を排除できたとしても、ISDを認めた瞬間、そこから全て蟻の一穴で入ってきてしまうということ。だからISDだけは絶対に認めてはいけない」。

亀井亜紀子「米国にだって反対意見はある。私たち反対派に入ってくる情報は、米国の反対グループからだったりする。米国も多様な社会だから色んなこえがあるけれども、米国政府の声として聞こえてくるのは極々一部の団体の声、今は保険業界が非常に強い。経団連の意見が日本政府の声ではないのと同じように、米国政府の要求がウォール街の声だけになっているのが問題」。

東谷暁「ISD条項、豪とかNZと組んで反対していくことはできると思う」。

関岡英之「米国は簡単に諦めないと思う。だから交渉を引き延ばす作戦に使える」。

@HEAT2009: ※ここまで。要約なので興味のある人は直接動画を観てちょ。

@HEAT2009: 以上、【討論!】亡国最終兵器TPPの真実・Part2[桜H25/3/16] より⇒ http://bit.ly/YyEuON 続き⇒ http://bit.ly/YyEuOP 続き⇒ http://bit.ly/YyEv57 ※収録は安倍TPP交渉参加表明の前日。

@HEAT2009: 前回の同番組(2011年2月26日)のツイートまとめはこちら⇒ http://togetter.com/li/105946

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