『関税撤廃7年以内 TPP交渉分野別状況 9割を即時』|日本農業新聞3月23日

 外務省など関係府省庁は22日、環太平洋連携協定(TPP)交渉に関する最新の分野別状況をまとめた。関係国とのこれまでの事前協議で得られた情報を整理したもので、農産物などの関税については「90~95%を即時撤廃し、残る関税についても7年以内に段階的に撤廃すべしとの考えを支持している国が多数ある」ことを明記した。米国が漁業補助金の禁止を提案していることも分かった。

 日本が仮にTPP交渉に参加すれば、米を含めた全品目の関税撤廃を求められるのは避けられないことがあらためて浮き彫りとなり、全国各地で交渉参加断固阻止の声が一気に高まりそうだ。

 22日開かれた民主党の経済連携プロジェクトチーム(鉢呂吉雄座長)で報告した。

 関係国の多くが関税撤廃・削減の対象としない「除外」や、扱いを将来の交渉に先送りする「再協議」を原則として認めず、「現時点で除外を求めている国はない」ことも記載した。

 7年以内の関税撤廃などは、政府が1日にまとめた米国を除く関係8カ国との協議結果でも報告していた。今回の分野別状況にも盛り込んだことで、農林水産分野について極めて厳しい状況であることを政府が認めた格好だ。

 漁業補助金については、米通商代表部(USTR)が昨年12月に発表した「環境保全およびTPPに関するUSTRグリーンペーパー」で「規律」としていた。日本政府が今回まとめた報告では、米国は「禁止」と踏み込んできたことになる。漁業補助金が禁止されれば、東日本大震災からの復旧・復興に懸命に取り組む漁業者らへの深刻な打撃は必至だ。

 食の安全については、「衛生植物検疫(SPS)の権利義務を強化し、発展させることにつき合意」。具体的には「リスク評価の透明性強化、科学的根拠の定義、国際基準との調和、委員会の設置」などが議論されているとした。

 今後の議論次第では、日本の牛海綿状脳症(BSE)対策など、関係国独自の科学的評価や基準が厳しく検証されかねない。

 また「保険サービスについて民間との対等な競争条件の確保」を求める議論が行われているとした。TPP交渉では国際的な急送便でも「公正な競争条件の確保」が焦点となっており、日本が仮に交渉参加すれば、郵政や共済、医薬品制度なども議論の対象になる可能性があるとみられる。

 公共事業などの政府調達では、対象となる政府調達の基準額を「参加国に共通に適用される単一のものとすべきだ」などの提案があるとした。

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