『TPP共に考えよう 各地でシンポ』|日本農業新聞3月18日

◆神戸市
 環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題を討議する「TPPをともに考える地域シンポジウム」が17日、神戸市で開かれた。外務省の山口壮副大臣はシンポジウムで「交渉参加は日本の発展、繁栄につながる」と述べた。これに対して、京都大学大学院の藤井聡教授がパネルディスカッションで、「政府の説明は論外中の論外」と反論し、労働を含めた自由化により「一層デフレが進む懸念がある」と語り、交渉参加に反対した。会場からも農業、医療関係の影響を心配する声が上がった。県内の農業者らは「安い米が輸入されるようになれば、水田は維持管理できず、即刻耕作放棄地になる」と断固反対を訴えた。慎重な対応や十分な情報開示を求める意見も相次いだ。
 
 パネルディスカッションでは山口副大臣や藤井教授、東京大学大学院の小寺彰教授、シンガーソングライターの松田陽子氏が参加し、TPP交渉参加の是非や課題について議論した。小寺教授は企業間競争を進める観点から交渉参加賛成論を述べた。シンポジウムは、共同通信社などが主催した。
 
※(引用者注)東京大学大学院の小寺彰教授はTPP推進派のイデオローグである。

◆広島市
 「TPPをともに考える地域シンポジウム」が17日、広島市でも開かれた。農業や製造業から190人が参加し、会場からはTPP参加による農村荒廃や地域経済の悪化を懸念する声が相次いだ。政府側は「アジアの成長を取り込める」などの主張を繰り返すにとどまった。
 
 政府からは内閣府の石田勝之副大臣が出席した。石田副大臣は、日本が仮に交渉に参加した場合、途中離脱ができるかとの質問に「離脱を前提とした交渉はできない。国益にかなうよう全力を尽くす」と述べた。
 
 こうした政府の説明に対し、会場からは不満や反発の声が続出した。ある農業者は「政府は日本の食料主権に向き合っているのか。農業の再生に向けたビジョンを示してもらいたい」と訴えた。「政府は誰を守るんだ。農家を切り捨てるのか」などの怒りの声も飛び交った。
 
 パネルディスカッションでは、フリーアナウンサーの川上裕子さんが、母親の立場からTPPによる食品安全基準の緩和に懸念を示した。鳥取大学地域学部の藤田安一教授は「地域経済は1次産業で成り立っている。TPPはそれを否定するもので、農村を崩壊させる」と述べ、交渉参加に反対した。

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