『FTAと韓国農業 米以外でも大打撃 立教大学郭教授 米国の狙い 畜産分野』|日本農業新聞6日

 米韓自由貿易協定(FTA)で米を関税撤廃から除外しても、韓国農業は壊滅的な被害を受ける―。こんな見方を、韓国経済に詳しい立教大学の郭洋春教授が示した。韓国の農業生産額を見ると、米は全体の2割。一方、4割を超える畜産は関税が撤廃されるためだ。環太平洋経済連携協定(TPP)に慎重な民主党議員らでつくる「TPPを慎重に考える会」の勉強会で指摘した。

 米韓FTAで、現在関税が40%の米国産牛肉は15年、同22.5~25%の豚肉は10年かけて関税が撤廃される。

 競争力のある銘柄牛が韓国にはないことなどから、郭教授は「韓国農業の主要部分を占める畜産業が相当な打撃を受ける」と予測した。

 一方、米は生産農家数が全体の7割を占めるが、生産額は2割にとどまるため、「米を関税撤廃から除外しても、韓国農業を支えるのは難しい」と指摘。「米国は、米で譲歩すれば、(米より利益の大きい)畜産分野で韓国市場に入れると判断したのではないか」とも論じた。

 また郭教授は、米国企業が韓国で不利益を被った場合、韓国政府を訴えて損害賠償を請求できる「投資家・国家訴訟(ISD)条項」にも言及した。

 仲裁をする国際機関は世界銀行の傘下にあり、世界銀行の総裁は米国人以外は就任したことがないとして、「米国に不利な判決は期待できない。仲裁機関は中立ではない」と警告した。

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