HIDEIGHT7679

HIDE · @HIDEIGHT7679

8th Jun 2011 from Twitlonger

後半はサウンド的や歌詞世界的にも語りたいことばかりで
1日1曲ペースでレビュー作っていたので遅くなりました(汗)
というわけでレビュー後半スタート。



6.きみの中に輝くもの

まさにイントロのマーティン1941年製の音の素晴らしさがこの曲を彩ってます。

これまた竹善さんのボーカルを右左から包み込むように鳴っていて
そして途中から入ってくるフェイズ?ロータリー?レズリーシミュレーターサウンドの
エレキギターの音の柔らかさ。

以前のように自分の居場所を求めて意地になって自分の音を出そうとする智彦さんは
そこにいなくて甲斐よしひろプロデュースで裏方に徹していた智彦さんの自分のギターの
立ち位置を考えたプレイは勉強になります。

今回のインタビューで印象的だったのはこの曲にはもうギターはいらないという
弾かないことまでも俯瞰的に見えているプロデューサー的観点。

でもね弾ける智彦さんも見たいんだなー(笑)

そして千章さんのBメロを削った方がいいという指摘で楽曲のサイズが決まったのも
SING LIKE TALKING的かなと?

SING LIKE TALKINGはやはり千章さんがプロデューサーなんだなと思います。
だから竹善さんが自由でいられるんだなと。

ボーカルは後半のハミングがもうスティービーワンダーな竹善さんが聴けます。

単調にちょっと間違えたら聴こえてしまう曲ですがそこには成熟し尽くした
カーペンターズやイーグルス的なスタンダードソングを感じます。

歌詞は季節の彩りを感じられる観点。
短いフレーズに春夏の1ページを素敵に切り取っていますね。

不器用ってことは何より一番ひたむきな証拠さ。

このフレーズは救われた気になります。


7.祈り

飾りのないXmas TREEがLOVE Expressならこの曲は幻月のイメージ。
SING LIKE TALKINGの三連番長(笑)智彦さんのリクエストで作られた
竹善さんの三連ソング。

名曲Maybe以来の竹善さんの三連ソングはまさしく震災地への祈りをささげる曲と
なるべくして生まれたのかもしれません。

こういう表現はやはり不適切かもですがリーマンショック以降誰もがある意味
このような歌詞の気持ちで毎日を乗り越えてきたような気がします。

サウンド的にはイントロは千章さん曰く会心のウニョウニョ系シンセ。
智彦さん特有のトレモロギター。そしてボリューム奏法的なソロフレーズ。

バックミュージシャンの聴きどころは森俊之氏の一発録音(!!!)
オルガンも素晴らしいし佐藤強一氏の以前のパワードラムのイメージとは
違うベテランの味のあるタメの効いたドラムプレイ。

そしてなんといっても竹善さんのみんなの祈りを代弁するような
最後の叫びのようなフェイクの嵐。

フェイドアウトするギリギリのところのロングトーンは本当に素晴らしいです。

今回の竹善さんの歌は本当に自宅スタジオで納得行くまで何度も
録音し直したんだろうなと思える歌。

リラックスできる環境でのレコーディングがもたらした部分はあります。
海外ミュージシャンも晩年に自宅スタジオを持ちマイペースで作った作品には
素晴らしい名盤が多いですから。


8.Do-Nuts?

智彦さんのホンワカインタールード。
曲タイトルはアメリカの家電店で見つけたドーナツメーカーの
名前をまんまパクったそうです(笑)

カントリーなジャズブルース???って感じでしょうか?
クレジットにブラス奏者の名前が無い!!!
ビックリしましたがおそらくギターシンセで智彦さんが
弾いたものを千章さんがエディットの妙で作り上げたと思われます。

昨今の楽器サンプリングの音もここまで来たかという感じです。

アコギによるギターソロのタメの効いたプレイは本当にオヤジギターだぜ!!!
って感じですね。

9.硝子の城
これぞtogetherness時期からのSING LIKE TALKINGファンにはたまらない
まさにAORなSING LIKE TALKING。

歌詞世界も含めてなSteely Dan的サウンドと言っても絶対に語弊は無いでしょう。
特にサウンド的にはよりJAZZよりになったAjaよりはどちらかというと
オーバードライブなギターが響き渡るRoyal Scam寄りなサウンドに思いました。

参照リンク→


Royal Scam→ http://ja.m.wikipedia.org/wiki/幻想の摩天楼

シニカルな歌詞世界、タイトルの硝子の城という言葉からもうニヤリとしてしまう。

竹善さん曰く「雨が上がれば」以来のリベンジとのこと。

「雨が上がれば」は�のアルバムの中でも異彩を放つ楽曲でルネサンスツアーで演奏されたときに自分としてはやっと完成形が見えた気がしました。

というのはこの時代のサウンドはバブル全盛期で音的にもきらびやかでAORとは全く正反対で汚れた音でなくせっかく楽曲がいいのに音のキレイさでそのブルージーさも消されてた感がありました。だから余計にルネサンスツアーでこの曲を演奏したときに大興奮した覚えがあります。

さて横道に逸れましたがまずは歌詞から二番の

思いのままにって多分意味を履き違えて育った明日の大人たち

それは開花しない蕾と変わらなく映る
実際この時代持ち堪えられてなどいない

自分はこの歌詞をリアルに今のゆとり世代を批判してる歌詞に思えて仕方がありませんでした。

思いのままにという言葉を違う解釈した結果が今の若い世代→明日の大人たちという解釈。

でも救いが無いのでは無くあくまで「開花しない蕾と」
表現してるところにもEmpowermentという言葉が意図する人間の潜在能力の発揮を可能にすることに繋がっていて
潜在能力があるからこそ開花しなきゃ意味が無いんだと強く批判してる気がします。

AORとはサウンドの格好良さやドライブにピッタリ的なオシャレさを纏った中にグサリと社会批判するところに本当の嫌味を醸し出してこその音楽。

そういう意味では本当に人間臭い音楽だと思います。

さてサウンド面ですがまずは何と言ってもソロを弾きまくってるエリック宮城さんのミュートトランペット。これ一つでジャジーさが出まくっている。

ドラムはこれも渋さを増した佐藤強一氏によるもの。そしてローズは森俊之氏。このローズのplayがやはりスガシカオでのローズ使いとしての素晴らしさが出ていて大感動モノ。

去年10月に見たCC KINGでのplayを思い出しました。

そしてもちろんこのローズのplayは竹善さんの変態的なコードがあってこそのモノ。

メロディラインも半音の動きを多用していて気持ちワルカッコイイ(笑)

竹善さんのボーカルに目を向けるとBメロの急にファルセットに
なるところでもー鳥肌(о ̄∇ ̄)ノ

千章さんがオススメのAメロ歌い出しのブルージーな部分ももはやドナルドフェイゲンの領域に。

これだけ捻くった曲ですがサビは歌えるPOPさがあるところがこの曲がただ難解な曲では無い証拠でしょう。

千章さんのセンスは曲の途中のところところで見え隠れしていてイントロや
間奏で聞こえるピチカート的な弦楽器の音を入れたりお得意のウニョウニョ音が智彦さんのギターと掛け合いになってるところも面白いです。

そして智彦さんは全編ギター本来の生なエフェクトを使わない渋み溢れるplayに徹してます。

もうベタですがラリーカールトン師匠になりきってます(笑)

ブレイクの度に聴けるコードもカッコイイ。

ソロもフレーズを弾いてて急に高いところまで上がってチョーキングするところがもう最高です。そして音が落ちて行くところでアドリブ的にならないように音を重ねてツインギター風にしているところが智彦さんカラーをしっかり出してます。

敢えて語弊覚悟で書くならやっぱり
これが待ちに待っていた自分の中でのSING LIKE TALKINGですね。

togetherness以降のSING LIKE TALKING好きには本当に武者震いしそうな曲です。

すいませんこの曲のレビューだけで2時間以上かかってしまいました(笑)

もう取り留めも無いので以上にしときます(笑)

10.Desert Rose (Adenium)
まず最初に謝らなきゃいけないのが
この歌詞世界を語ること自体がおこがましさ
を感じてしまっている自分がいるということ。

おそらく今までのSLTの中で一番歌詞世界の深みに
入り込んでしまって表現方法さえ忘れてしまうほどの
歌詞世界。

どこのフレーズがいいとかのレベルじゃなく
この歌詞自体が頭に直感的に感情を高揚させ
そして底力的に生命力に満ち溢れていて
語ること自体が陳腐で・・・。

逸話としては初めに出来た曲にもかかわらず
竹善さんが千章さんに直しをさせて最後にレコーディング
をした段階でどれだけ千章さんが丹精込めて作ったかを
考えるともう何もお伝えすることは無く皆さんの心に
深く染み込んでいることでしょう。
そしてその歌詞世界の深みに溺れているのは
自分もその一人であることは容易にご想像できる
ことでしょう。

一つだけお伝えするなら・・・
「風任せのままじゃぼくは約束を果たせない」
というフレーズでどれだけでも泣いてしまう。
ぼくはまだ音楽仲間との約束を果たせてない。
音楽をやる勇気が無い。果たせる気がしない。
このまま消せない不安で息が続く間に走ることも
できないと弱音を吐くだけ。

でもそれを乗り越えろ!!!と言わんばかりの
ただ闇雲にロックするのではなく時に優しく
語り時に力強く肩を押すこの曲の内なる人間が
持つ二つの力強さに感動をする楽曲。

歌詞世界を表現できないままで・・・

さてサウンド面。
このアルバムにおいてA Wonderful Worldとは兄弟ソング
のような感覚。

Humanityにおける飛べない翼と遥かな航海への関係性
と似た感覚を覚えます。

砂漠ということで大地の力強さを感じます。

今回のアルバムでは残念ながらその個性故にあまり
あえて参加しなかったのであろう塩谷哲氏のピアノの
イントロとそこに絡みつく千章さんのウニョウニョ系シンセからスタート。

A、Bメロともにピアノ中心のサウンドからサビに入り智彦さんの12弦ギター?
それともエフェクターで12弦風???にしたギターがこれまたサビで竹善さんに
寄り添うメロディで歌えるようなメロディライン。メロディ野郎炸裂してますね。

ドラムは小笠原拓海氏のひたすら若さ溢れる力強いドラムが曲を引っ張る。
そして松原秀樹氏のベースがその道程を導く。

そしてBメロとサビ、サビの間を結ぶ場面場面で智彦さんの激しい
ディストーションギターでのオブリガードが入る。

そして所々でアコギのストロークも入る。

そしてブリッジ。

ここも新しいSLTというより佐藤竹善のボーカル。

敢えて力強くではなく優しく低音ボーカルで「幻さ」の部分を歌い。

大サビ前の竹善さんのロングトーンで盛り上げる。

渡り鳥が飛び立って行くような広がり感とスクラッチ的かつ逆回転なシンセの音で
脳内に砂漠と大空が拡がっていく感覚。

最後の主メロを崩したフェイクと叫びにも似たI will be like a desert roseの
フレーズのフェイクの掛け合い。

優しさと力強さが同じなんだとこの曲は語りかけてくれる。

そこにはロックだとかファンクだとか
AORのジャンルなんてクダラナイモノは無くただ音楽というものがそこにある。

11.Wild Flowers

風に吹かれてで生で聴いたのとYouTubeに誰かが→誰なんでしょうねー( ̄ー ̄)ニヤリ
UPしたのをずっと聞いてて耳馴染みは
すっかり定着していた曲。

風に吹かれてのときに今までのSING LIKE TALKINGでは無い匂いを感じつつも
Bメロでひたすら落としてサビで高揚する感じに鳥肌。

スタジオ版では一番ではバックの演奏がひたすら幻想的。ハイハットにディレイ音→http://ja.m.wikipedia.org/wiki/ディレイ_(音響機器)
をかけるという定説では考えられないエフェクト。

アメリカ的では無くUK的なアレンジで二番からアメリカ世界へ。

ひたすら空間的に広がる立ち上がりの遅いバイオリン奏法的エフェクトをかけた
智彦さんのメロディアスなギター。

佐藤強一氏のパワフルかつベテラン的なタメの効いたドラム→クレジット変更なければ
小笠原君って書きそうでした(笑)

そんな演奏もあくまで裏方でしか無いことを認識させるのはこの曲の歌詞世界でしょう。

捉えようによっては愛を誓いあった人よりも想い出の偶像の中の女性を追いかける男特有の女々しさが表現されている。

時間と言う鉄屑の海で行方を失っている旅人のような。

この歌詞世界の深さもまた語るには年輪を重ねなきゃなのかなと思います。

解釈的にはやはり男特有の女々しさかな?と。
現実よりも過去を振り返る部分もまた人生かな?と
思います。

12.Dog Day In The Noon
映画の最後のエンディングロール的なこのインスト。
ジェフベックと言ってしまうとまんまなのですが
まさに智彦さんベテランのオヤジギターキテマス。

指弾きの魅力溢れる曲でアーミングでのニュアンスは本当に見事。

インタビューで見たことがありますが一時期はCATにアームを使ったギタープレイをダメ出しされて自分のカラーを出せなかった智彦さん。

でもスティーブルカサーに影響を受けている智彦さんにアームを使うなというのは無理な話でf^_^;)

その感じていただろうストレスでメタボ以降は逆に空回りしてた感も否定はできず今やっと円熟期に智彦さんが達した部分が本当に出ていると思います。

去年の猛暑時期に作られたというのがいかにもその時その時の感情を表現するアーティスティックな智彦さんカラーが出てます。そんな智彦さんがやっぱり人間臭くて自分は凄い好きですね。

さていよいよ総論ですが・・・。

ぶっちゃけるとtogetherness以降のファンには納得がいかない部分は
あるでしょうけどそれはあくまでフュージョン的にSLTを捉えている人の
意見であって。

SLTというのはそもそもAORと言ってもひたすらある時はTOTO。
あるときはスティービーワンダー。ある時はスティーリー・ダン。
であるバンド。

今回ギター弾きの自分としては智彦さんが思ったほど暴れてないのが
残念ですがズバリ言えば。

これがSING LIKE TALKINGじゃなかったら何がSING LIKE TALKING
なんだ???という程まさにジャンルとしてSING LIKE TALKINGというジャンル
なんだ。いやジャンルという稚拙なカテゴライズなんかブッ壊している
存在がSING LIKE TALKINGなんだということを再認識せざるを
得ませんでした。

そして佐藤竹善の自由に動きまわる歌。難解なコードワークをしつつも
あくまでPOPのフィルターがそこにある。

感情にあふれるメロディアスなギターを弾くTHE 感情な智彦さん。

そして感情のメインを司りつつクールな歌詞世界を構築する藤田千章先生。

この3人のトライアングルが再び交わりより高みの世界へ高揚させる音楽。
これこそがSING LIKE TALKINGなんだと言うことが結論でしょうか???

そして一つ言えることは千章さんの歌詞に飢えてたんだな~って思います。

以上長文お付き合いありがとうございました♪

Reply · Report Post