今後のシナリオ~Pierre Le Hir:ルモンド紙の科学担当記者、福島第一発電所にかんする読者の質問に答える http://lemde.fr/gLi5Uw 今後のシナリオに関する部分のみ以下抄訳。■読者「〔福島第一〕発電所は爆発するのでしょうか」■PLH「発電所の爆発はない。再度言いますが、現在すべての炉は停止しており、連鎖反応の暴走というリスクはありません。反対に、水素爆発はありえます。水素爆発は事故の初期にすでに発生しており、原子炉が置かれている建屋の一部がこの種の爆発で吹き飛びました。また、炉心溶融による水素爆発の発生もありえます。冷却ができなくなったために高い温度に達すると、核燃料はコリウムと呼ばれる非常に強い放射線を出す混合物に変わります。このコリウムの中には、燃料〔棒〕の被覆の金属、そして圧力容器の中にある構造物の一部も含まれることになります。このコリウムが、新たに水素爆発を引き起こすということがありえます。このような爆発が起きるならば、放射性物質が大気中にばらまかれるということもありえます。しかし、炉心溶融での主なリスクは、圧力容器に穴があき、コリウムが圧力容器から出てしまい、原子炉建屋の底部にあるコンクリートの床に達するということです。場合によっては、放射性物質が地下にまきちらされたり、海中に流出するというリスクです。■読者「もし『やり直し不可能』な地点に達してしまったら、何が起こるのでしょう」■PLH「『やり直し不可能』な地点という言葉で何を念頭に置かれているのでしょうか。敷地内での放射線レベルが強すぎて、人間が近づけなくなった場合を想定してみましょう。この場合、これらの原子炉の炉心全部が溶融し、すでに述べた過程にしたがって、〔圧力容器〕外部に出てしまい、コンクリートと接触することになるでしょう。その後どうなるかは、未知の領域です。そのような事故は起こったことがないからです。コリウムについては既に述べましたが、このコリウムは、2000から2500℃くらいの温度です。一方コンクリートは通常700℃ほどで融けます。しかし全てはこのコンクリートの組成によりますし、またコリウムの広がり方、つまりコリウムが多少とも速く冷やされるかどうかということにもよります。最悪の場合、放射性物質の全量がコンクリートを突き抜け、福島〔第一〕発電所の下にある岩盤に接触することになるでしょう。ここの岩盤は、花崗岩を含む火成岩なのですが、破断があるかどうか、また地下水の流れがあるかどうか、把握していません。したがって、この岩盤に放射性物質がすでに入り込んでしまっているか、あるいは地下に、場合によっては海洋に入り込んでしまっているかをいうことはできません。発電所のすぐ近くに海岸はあります。

Reply · Report Post