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4th Nov 2010 from Osfoora

宮本浩次(エレカシ)インタビュー(6)
■■で、一番最初に書いたオリジナル曲は"星の砂"っていう、これは今でもエレファントカシマシの中ではものすごく過激な曲に属すると思うんですけど、いきなりそういう興味対象が詞に出ちゃったんだ?
「……もうそれ一色だったからかもしんないね、生活が。だから、何にもそういうこと考えなかったみたいですね」
■■で、高校に入ってから政治にのめり込むと同時にバンドもある程度本格的に、人前に立って歌うようになりますけど、その辺のいきさつを……。
「それはやっばオリジナルの曲とか出来てきて、で、練習も週に2回とか3回とかやってまして、人前でやりたくなってきまして。で、ライヴハウスにテープ持ってって、で、やるようになりました。ライヴハウスでやるっつっても、だけど、結局対バンのバンドのお客さんが中心だったし、せいぜい友達が10人ぐらい来る程度ですからね。で、反応っつってもほとんど聴いてませんし、ほとんどもうがなり立てて力技でやってました。要するにみんなワイワイ喋ってんだな。で、音量デカくして喋れないぐらいワーッつって暴れて、強制的にやってましたけどね(笑)」
■■オリジナル曲も何曲かやったんですか?
「そうですね。ほとんどもう、高2ぐらいになったら全部オリジナルでした」
■■どういう詞なんですか?
「そうだなあ……。だから、米ソのやつで飛行機が飛んできたとか。で、俺は皇居の前でタバコを吸ってんだとか、そういう詞ですよ」
■■(笑)。じやあ、いきなり危ないバンドじやないですか?
「そうですね。だけど、まあ、容貌とか格好とかはもう、ものすごいですからね、他のバンドは。我々は普通の格好でやってましたし、歌詞なんか誰も聴いてませんし。ただ大暴れしてましたね」
■■どういう風に?
「ビール飲んでやった時がありまして、それでね、こういう風にやってやったらね、手持ちぶさたがなくなった日があったんですよ」
■■あーあー、両手振り回して。要するに今のスタイルですね。
「うん。それで走ったりさ、あと椅子を投げたりね、マイクをひっくり返したりすることでごまかしました。手持ちぶさたを。あと、こう、怒鳴ったりね」
■■で、「結構これは気持ちいい」みたいな?
「そう。ビックリさせるのが楽しかったんですね」
■■ビックリしてました?
「いや、みんな大笑いしてましたね(笑)。で、間に話すことがそういう、北朝鮮のアレがトンネル掘って韓国に行ってるとかさ、そういう話してて。で、ギターの弦が切れちゃったりすると俺、ずっと30分ぐらい喋ってたしね」
■■そういう政治談義を?
「そう。あと赤尾敏の真似したりね(笑)」
■■(笑)。でも、客が来なくなるでしょう? そんなことやってると。
「つうか、もう全然増えませんよ、お客さんは。だから、最初は友達が付き合いで30人とか来ててくれたけど、あとの方は10人とかさ。減る一方」
■■それでいいと思ってたんですか? そんなやり方でメチャクチャやって、客は減る一方だわで。
「つうか、趣味っていうか、そんなに考えてなかったんじゃないですか? 真剣に。普段のウップン晴らしっていうかさ」
■■バンドの他のメンバーは宮本君のそのMCの内容とか歌詞とか暴れたりとか、そういうのに対してウケてました?
「いや、もう大笑いしてましたね、石君なんかは。まあ、みんな喜んでたんじゃないですか? 途中でコミック・バンドにしようかとかって思ってましたよ、俺、そういえば。『それはやめた方がいいんじゃないか』って言われましたけどね」
■■それで3年間続くんですか? ずっと。
「それでね、途中で辞めちゃったんですよ、何人か。1人脱け、2人脱けして、それで結局4人になっちゃったんですよ。高校3年ぐらいになってからみんな『俺、ちょっと辞めるわ』っつって辞めちゃった人とかいて。それで4人でやるためにあの"BLUE DAYS"とか作ったんじゃなかったっけなあ? それでね、1回辞めちゃったの、バンドを。僕も大学人りたかったしね。それでしばらく辞めてましたね、ライヴハウス出るのとかも。……で、俺その高校のね、終わりぐらいの時ちょっとね、俺が死んだら葬式に人が来てくれるかとか、そういうわけのわかんないこと考えてた時あったよ。何でそんなこと考えてたんだか全くわかんないんだけどさ、今思うと。要するにだからね、普通にしてるんだけどやっぱ何かヤだったみたいですね。上手くいかないっていうかさ。友達が出来ないっていうか。友達はいたんだけど、なんかこう、上手くいかないっていうかさ。だからもう、笑ってるとみんな俺のこと笑ってんだと思ってたからね。で、みんな『あ、また始まった』って顔してるよ。俺がそうやって1人でやってるとさ。だから、何しろヤだったんだよなあ、なんか」
■■どのくらいシリアスなもんだったんですか、それは。宮本個人の問題としては。
「1人でいてもつまんないしさ、人といてもやっぱり全然駄目だしねえしねぇ」
■■本当に、じゃあ、もう"BLUE DAYS"の、ブルーなデイズなんだ?
「うん」

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